雑談散歩

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オオカミの威を借る「クマ除け尻当て」顛末

オリジナル「オオカミのイラスト尻当て(しりあて)」。上辺をベルトを通せるように袋綴じに、四方をスタッド(鋲)で止めてある。

史上最悪の獣害事件

2016年の5月から6月にかけて、秋田県鹿角市の十和利山(とわりさん)山麓で、山菜採りの人たちがツキノワグマに襲われるという事件が起きた。
当時、世間を震え上がらせた「十和利山熊襲撃事件」である。
この期間、十和利山山麓一帯でクマに襲われた被害者のうち、合わせて4人が死亡、4人が重軽傷を負った。
後に、猟友会によって射殺されたツキノワグマ一頭の胃のなかから、人体の一部が見つかったという衝撃的な顛末(てんまつ)が報道されている。

こうして2016年に起きた「十和利山熊襲撃事件」は、ヒグマの生息域である北海道を除いて、本州では史上最悪の獣害事件となった。

ツキノワグマ出没警報

青森県においては、今日から11日前の10月2日に、平川市碇ケ関久吉蕷ケ平の農道でクマに襲われた可能性が高いとみられる男性(74歳)の死亡事故が発生した。
このため、県の自然保護課によって県内全域に「ツキノワグマ出没警報(今年10月4日~今年11月30日)」が発表されている。

私が「ルート探索ヤブ漕ぎ山歩き」を楽しんでいる滝沢山地にもツキノワグマはいる。
去年の12月27日に、滝沢の下折紙沢エリアをスキーハイキング中、若いクマを目撃している。
平沢エリアでは、クマの足跡や糞を目撃したことがあった。

近年では、日本全国でクマの目撃情報が増大し、クマとの接触による「事故」が増えている。
滝沢に限らず、今はどこの山でもクマが活動していると考えなければならないだろう。

クマ出没マップ

青森県が発表している「クマ出没マップ」によると、国立公園である北八甲田山(青森市荒川地区)でも、今年の8月23日にクマ一頭が目撃されている。
かつては、クマはいないと言われてきた津軽半島でも、クマの目撃通報がある。

県の「クマ出没マップ」は、あくまでもクマの目撃通報にもとづいている。
なのでクマを目撃しても、その報告が官庁まで上がっていなければチェックはされない。
マップ上にチェックが無いからと言って、そこにクマがいないとは言えないのだ。

目撃通報のない山の奥には、いったいどのぐらいのクマがいるのだろうか。
山はクマの棲みかであり餌場(えさば)である。
棲みかに侵入し餌場を荒らしている人間を、クマは「害獣」と見なし、攻撃せずにはいられなくなっているのだろう。

クマと接触しないこと

そんな状態でも、山歩きを楽しみたい人は山を訪れている。
10月4日の大岳ハイキングでも、10月10日の高田大岳ハイキングでも、熊鈴を鳴らしながら歩いている登山者を見かけることが多かった。

熊鈴をつけている多くの登山者は、「熊鈴があれば安全さ」なんてことは思っていない。
「クマが、この鈴の音を聞いて私に近づいてこなければいいな」と願っている。
山において、クマと登山者との一番良い関係は、接触しないことである。

クマに遭わなければ、それにこしたことはない。
だが山菜採りや登山者は山というクマの生活圏のなかを歩くのだから、クマと遭遇する確率は高い。
かくいう私も、滝沢の山で「ルート探索ヤブ漕ぎ山歩き」などと言ってのんきに歩いているが、いつかどこかでクマと遭遇するかもしれないのだ。

クマ除け尻当て

山菜採りが、いきなり後ろからクマに噛みつかれたという話はよく聞く。
前方にクマを発見した場合は、いろいろな対処法があげられているが、背後から音もなく接近してきたクマにお尻を噛みつかれたりしたら最悪である。

そこで思いついた愚案が、写真にある「クマ除け尻当て」。
かつてのマタギがよく身につけていた獣皮製ではなく、塩ビのターポリン製尻当てである。
しかもオオカミのオリジナルイラスト入り。
なぜオオカミのイラストなのか。
それは頂点捕食者であるオオカミがツキノワグマよりも強そうだから。

自分より強そうな獣を、クマは避けるに違いないという発想。
オオカミのイラスト入り尻当てを腰から下げた私の後姿はずいぶん滑稽だが。
これを見たクマは、私に接近しないのではという希望的観測。
虎の威を借る狐ならぬ、オオカミの威を借る羊な私。

だが、クマはこのグラフィックなイラストをオオカミと認識するだろうか。
そもそも日本ではとっくの昔に絶滅したとされているニホンオオカミにたいして、いまだにオオカミは強者であるというイメージを、クマは持っているのだろうか。
何よりも二ホンオオカミは、ほんとうにツキノワグマよりも強かったのだろうか。
などと素朴な疑問が湧いてくる。

Stay away from me!

こう考えると、この尻当ては保温目的の単なる尻当てとして使用した方が良さそうである。
厳冬期の雪山での使用には、もうちょっと保温面で工夫が必要であるが。

オオカミのイラストの下には「Stay away from me!」という英文コピーを入れた。
クマにたいして「オレに近づくな!」というオマジナイである。

このオマジナイ付きオオカミイラストは、クマにたいしては効果がなさそうだが、人間にはききそうだ。
オリジナル尻当てを腰につけて、山を歩いたりスキーハイキングをしたり。
そんな姿を見た登山者やスキーヤーは「変な爺がいるぞ」と私を避けることだろう。

最後に

変なオチの私の作文を最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事がツキノワグマとの遭遇による事故防止のご参考になれば幸いです。


着けてみた。

リュックを背負って、ウェストポーチを腰に巻いて。

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