残雪ギリギリで、睡蓮沼から南八甲田駒ヶ峯まで
藪漕ぎ覚悟で南八甲田駒ヶ峯(標高1417メートル)へ。
ギリギリ雪がつながっていることを期待したのだが、行ってみれば、往路で3〜4メートルほどの藪こぎ4〜5回。
いずれもネマガリタケの上を踏んで歩いた。
高層湿原の大部分は、まだ残雪の下になっている。
時期的にみて、残雪はかなり多めであると思った。
初夏にスキーで南八甲田駒ヶ峯へ。
たぶん、例年だったら、初夏にこんな歩き方はできない。
その分、今年は八甲田山の雪が、遅くまで残っている。
ルート探し
森の中で、ルートが途切れるたびに、分厚い薮を前にして、ここで終了かと思ったが、残雪の上をあちこちうろつき回ってルートをつなぐ。薮の薄い箇所を探す。
繕い物をするように、残雪という破材をルートという一本の糸で、ていねいに縫い合わせて、森の中をさまよい歩く。
そして、とうとう目的地へ。
時間はかかったが、面白いスキーツーリングだった。
湿原を見ながら小高い雪の丘を進む。 |
雪がかろうじてつながっている。 |
睡蓮沼を9時前に出発して、駒ヶ峯山頂に12時到着。
「ルート探し」をじっくり楽しんだのだから、こんなものでしょう。
空間感覚
このコースの良さは、北八甲田の景観を楽しみながら歩けること。急登は、ほとんど無いので、なだらかな残雪の斜面をのんびり散策できる。
四方を笹藪で囲まれ、そのなかに取り残されたような雪原。
その空間感覚がとても面白い。
四方の笹薮で、現実世界から切り離された異空間という雰囲気。
季節外れのスキーヤーと言うべきか。
時代錯誤の老人と言うべきか。
現実逃避の刺激行動依存者と言うべきか。
山岳愛好者を装った狂人か。
などという「自己規定」を空想してみても、初夏の雪上の爽やかな風が、それを吹き払う。
理由があって行動している訳ではない。
歩く先に理由が待っているのだった。
ここまでしか到達できなかったら、それを理由に引き返せば良いじゃないか。
という思いに励まされて、前へ進む。
前方に小高い丘。 |
後方に北八甲田連峰。 |
辿ってきた後方の景色。 |
辿ってきた後方の写真。 |
薮漕ぎ。薮を透かして残雪が見える。 |
辿ってきた後方。 |
丘を上がって台地に到着。後方に北八甲田。 |
残雪地帯を探しながら台地を進む。後方に北八甲田。 |
とうとう駒ヶ峯へ
ずうっと続いていたアオモリトドマツの樹林帯を、背の高いネマガリタケの藪漕ぎで抜ける。すると、いきなり眼前に広がる南八甲田の景観がすばらしい。
駒ヶ峯が姿を現す。
北八甲田のどこかのピークに登って眺める南八甲田の景色とは違う。
南八甲田の深部に入ってでなければお目にかかれない景観だ。
南八甲田は北八甲田と違って、各ピークの裾野が広い。
その広い裾野に高層湿原が点在している。
積雪期は、その湿原が広大な雪原になる。
この雪原(高層湿原)は、猿倉岳からニセ駒をつなぐ稜線の一段下にある。
雪原の様子は、北八甲田のピークからは、この稜線の陰になって見えにくいのだ。
広い雪原から、すっくと立っている南八甲田連峰の山々。
この時期でなければ味わえない風景。
残雪多い初夏の、山景色。
残雪が途切れて行き止まり。 |
抜け道を探し当てる。 |
この薮の奥が駒ケ峯の雪原地帯。 |
薮を抜けて駒ケ峯と対面。 |
駒ヶ峯山頂付近のツアースキー指導票 |
ニセ駒から猿倉岳への稜線。奥のピークが南八甲田赤倉岳。 |
南八甲田乗鞍岳山麓の黄瀬沼 |
乗鞍岳。 |
駒ヶ峯山頂から眺める北八甲田。 |
ルートをはずしてルートを発見
櫛ヶ峯まで行こうかという気持ちも湧いたが、ルート探しの疲労もある。帰路は滑りっぱなしというわけにはいかない。
そこで、駒ヶ峯山頂で、ゆっくり休憩。
一時間後に帰路についた。
気温が高かった割には、雪質は上々。
滑りが良いので、帰りは調子に乗り過ぎて、薮漕ぎの進入ポイントを見逃してしまった。
なんとなく迷いそうな予感をよそに、天気が良いので、残雪の続く限りどんどん滑り下りる。
往路ルートは右手(東)側 だったので、右手側に注意しながら下りた。
頃合いを見て、右手側薮を覗き見しながらボーゲンで下りると、東側残雪帯へ抜ける雪の通路を発見。
その細い通路を渡ると、往路に登った丘(台地)のやや上部寄りに出た。
往路は、このやや急な斜面の真ん中を登ったので、この秘密の通路に気付かなかったのだ。
ここを通れば、最後の薮漕ぎ一回だけで、駒ヶ峯に辿り着くことが出来た。
ひょっとしたら、櫛ヶ峯までも・・・。
駒ヶ峯スキーツーリングのまとめ
たまには、迷いものに福あり。睡蓮沼駐車場から、往復した丘(台地)の斜面を眺める。 |