2013/05/29

正面顔と横顔の印象の違う人

横顔美人
私って美人でしょ。
例えば私が、側に立っている人物を横から見た時、そのときの相手の顔は「横顔」という一般的な呼び方になる。
それに対して、正面から見た場合は、「縦顔」ではなく「正面顔」というややぎこちない呼び方になってしまう。
免許証など、公の証明書に貼付けられる顔写真は、この「正面顔」と決まっている。
銭湯でよく見かける、犯罪者の指名手配のポスターには横顔が添えられていることもある。

人物を特定するには、横からの「見え方」も必要だから。
よく「まともには見られない顔」という言い方があるが、たぶんそれは正面から見た時の顔のことだと思われる。
これは「顔が醜すぎて・憎々しくて」まっすぐに向かい合って見るには、平常心を保てないほど苦痛である。」という意味合いの罵詈雑言の慣用句である。
「まとも」という言葉には「真面」という漢字があてがわれていることが多い。
だから「まとも」には「正面顔」という意味合いも若干含まれていると思うが・・・。
「まともじゃない」という言い方は「正面顔じゃない」という意味とは程遠い。
「まともな生活」とは「正面顔で生活する」という意味ではない。
「あいつは、まともじゃないよ」は「あの人は一般的な社会通念からは外れた生活態度・行動スタイルの人」ぐらいの意味だろうか。
とにかく、「真面(まとも)」という言葉の使い方として、正面顔が文脈に大きくイメージされることは、あまり無い。

でも、「まとも」という言い回しに、ごくごくわずかに、正面顔がチラチラ見え隠れするのも事実だ。

「まともな生活」のパーツには「正面顔で生活する」というイメージがあっても良いような気もする。
「正面を向いて生きていこう」みたいな言い方もあることだし・・・。

正面顔と横顔の見た目の印象が違う人は、割といる。

正面顔はのっぺりと平坦そうだが、横顔はホリが深くて、その立体的な有り様は別人のようだ、というようなこともある。
横顔に自信のある横顔美人な女性は、真正面よりも、斜め横向きで人に対したらいいんじゃない、と心の奥で考える。
そして、やや横目的な目つきで、相対する人に目をやったりする。
その対談者が年配の人の場合、彼は「こいつまともじゃないな」と思ったりするかも知れないが、横顔美人の若い女性は、平気だ。
彼女は、自身を良く見せようとする意識が強いので、老人の思いには気がつかない。
そしてついには、自慢の横顔だけで応対するようになる。
彼女は、横目で老人を凝視しながらの「横顔正面」的な応対を決行する。
彼女の白目の隅に細い血管が浮いているのが見える。
目の端っこに突っ張った黒目につられて口の端がヒクヒクしている。

横顔の横目は異様だ。

老人は後ずさる。
もうこれは「まともじゃない」なんてものじゃない。
「はて面妖な、この女は妖怪か?」と思ったりしている。
「今度正面を向いたときは、のっぺらぼうかも」
そう想像したら、それ以外のなにものでもなくなる。
老人の想像力には年季が入っている。
長い人生で見聞きした「事実」にも裏付けられていたりする。
そして老人はある事実に気づく。

正面顔は一つだが、横顔は二つあるではないか!

正面顔と合わせると、顔が三つある女だ!
恐怖心が発見能力を高めるのか。
新発見が恐怖心を煽るのか。
もう何がなんだかわからない。
老人の不安はつのるばかりだ。
当の妖怪は、長時間の横目使いに目がチカチカして、老人の表情の変化を読み取れないでいる。

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