海辺の空き地に繁茂していたオオアカバナ
オオアカバナの花弁。 |
海辺の空き地でオオアカバナを見たという話を、野草好きの知人から聞いたので行ってみた。
埠頭の突端の方へ進むと、なんとオオアカバナの群生が形成されつつあった。
草むらのなかにピンクの可憐な四弁花が点在している。
オオアカバナは、環境省のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に指定されている。
青森県以外では、ほとんど見かけることが無くなったとされる野草だが、私の近所ではけっこうお目にかかれる花である。
2018年9月20日に車道脇の側溝から伸びているオオアカバナに出会ったこともある。
ここで私がオオアカバナを最後に見たのは、2015年9月6日であった。
それ以来今日まで、ここではオオアカバナの姿は見ていない。
ひょっとしたら、気がつかなかっただけかもしれない。
もうここのオオアカバナは無くなってしまったと思いこんで、注意深く探さなかったのだ。
先入観は旺盛だが、観察眼に欠ける「自称野草ファン」であった。
最初に私がオオアカバナを見つけたのは、ここから西側の石ころで埋まった荒れ地だった。
湿った草原を好むオオアカバナにとって、石ころだらけの荒れ地は、厳しい生息場所であったに違いない。
ここの埠頭は強い西風が吹いていることが多い。
きっと、オオアカバナのパイオニアの種子が、石ころだらけの荒れ地から西風に乗って、ここへ飛んで根付いたのだろう。
この草むらでは、秋の終わり頃になると雀の群舞が見られる。
なぜここで雀は群舞するのであろうか。
おそらくエサになる種子が多いからだろう。
夏から秋にかけて、この草むらには様々な野草の花が咲き乱れる。
その結果、豊富な果実が地面にばらまかれるのだ。
よりどりみどり。
雀の乱舞は、秋の実りのお祭りであったのだ。
オオアカバナの種子は、小鳥で運ばれることが多いと聞いたことがある。
ここのオオアカバナのパイオニアを救ったのは、秋の終わりに乱舞した雀かもしれない。
などと考えながら、一眼レフを携えて、猛暑の埠頭をさまよった次第である。
オオアカバナの立ち姿。 |
雌しべの柱頭が4裂している。 |