雑談散歩

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「死ねば死にきり」

石油ストーブにかけていた大きな薬缶から、カラカラと乾いた音が聞こえた。
その音を、すごく小さな「塊の音」に感じたので、音って物みたいだなと思った。
まるで微小な石ころが薬缶の底で転げ回っているような感じの、小さな音。

それは空気の焦げる音だった。
薬缶の蓋を開けたら、薬缶の内はお湯が蒸発してしまって「空焚き」状態。

今日の未明、肺炎のため吉本隆明さんが亡くなられた。
87歳だったという。

私がいちばん最後に買った吉本隆明さんの本は、1997年出版の「僕ならこう考える」。
吉本隆明流「生活の方法」みたいな内容だ。

その本の最後(最終節)に「死ぬときに持って行けるもの」という文章がある。
吉本隆明さんは、高村光太郎の詩のなかの「死ねば死にきり/自然は水際立っている」という言葉が好きだと言っている。
この言葉が、吉本さんの「自身の死」に対するイメージと重なっているのかもしれない。

「本人は何も持っていくわけではないけれど、愛した、愛された記憶とか、その人の生活の跡はあとに残された生きてる人に残る。それが残れば上出来じゃないでしょうか。」

「僕ならこう考える」の「最終節」での、吉本隆明さんの言葉です。
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