雑談散歩

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田舎の実家の庭先にあった野苺(のいちご)の夢

赤い野苺の実
野苺、食べるかい?
ちょっと酸っぱいけど、甘みも充分あるよ。

野苺?どうしたの?
その野苺って、どこにあるの?

田舎の実家の庭先に、いっぱいあったのさ。
母が生前、どこからか苗をもらってきて、植えたんだよ。
今朝、散歩の帰りに、庭をのぞいたら、紅い粒々がいっぱいあって、摘んで食べたら、とても美味しかった。

えっ!あんたの田舎の実家って、もう無いんじゃない。

そう、もうとっくの昔に無くなってるよ。
紅い野苺の夢を見たんだ。
夢の中で、ものを食べるなんて、ずいぶん久しぶりだ。
味も感じたよ。
ちょっと酸っぱいけど、甘かった。
昔よく食べた、懐かしい味だったね。

あの夢の野苺を摘んで、現実に持ってこれそうだったから、野苺食べるかい、と聞いたのさ。
すっかり、夢と現実がごちゃ混ぜになってしまった。
そういう夢を見たんだ。

今朝方の夢だけれども、ついさっきの現実でもあるような。
夏の日に心地よい風がサワサワ吹いて、母が、野苺を食べなさいと言ったのだ。
だって、野苺の苺の字は、草かんむりに母だろう。
だからあれは、母の植えた野苺だったんだ。
と言うのも、変な話だが。
なにしろ夢だからね。

そして、野苺の味の記憶が、舌によみがえって、田舎の実家の庭先が眼前に広がったのさ。
たぶん、夢を見たのは、「野苺を食べなさい」という母の言葉が聞こえたからだ。

それは空耳じゃないの?

ああ、そうだ空耳だ。
子どもの頃、夕焼け空や、青空や、雨の曇り空から、よく聞こえていた。
きっと空耳だ。
明け方の空から聞こえてきた「野苺を食べなさい」という声。

だから、こんど山へ行ったら、野苺を探して食べてみようと思う。
その野苺を食べたら、また、どんな記憶が蘇るのだろう。
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