2016/06/27

ケヤキの張り出した横根を見て思ったこと

以前読んだ「植物のあっぱれな生き方」(著:田中修)という本に、面白い記事があった。
それは、動物と植物の違いについて書かれたもの。
動物には、動かなければならない理由がある。
それは、食べ物を探したり、子どもを残すために生殖行為の相手を探したり、ねぐらを探したり、敵から避難したり。

そういう理由で動物は動かなければならないとのこと。
これに対して植物は、一ヶ所でじっとしていても、これら全てをまかなえるので動き回る必要が無い。
植物は動物と違って動かなくても生きていける生き物なのだと。

そして、植物は動物の食糧をもまかなって生きている。
人間や動物は、植物が自らの体内で作った「ブドウ糖」を摂取して、それをエネルギー源として忙しく動き回っている。
この本の筆者は、植物と動物とどちらが偉いかを言っているのではない。
植物と動物と、どちらが便利かとも言っているわけではない。
動くものは動かないものに生かされて動いている一面があるということを読者に示しているのだ。
その植物の本によって私は、比較や対立といった観点では見えないものがあると気づかされた。

一方向に巨大な横根。
ところで、写真のようなケヤキの横根に出会うと、ケヤキは動かないために少しずつ根を動かしていると思えてくる。
その場所に止まるために、その場所を占有する。
まるで戦国武将の居城のように。
植物が成長することは動的ではあるが、動物の動的な生き方とはまったく違う。
でも写真のように、地面に露出した太い根で、大地を鷲づかみにしている姿には、動物的な力強さを感じさせるものがある。

その力強さは、難攻不落のお城というイメージである。
ケヤキは背丈が高く、枝ぶりが大きくて大柄である故に風当たりが強い。
強風に耐えるために、根を四方八方に這わせている。

樹木の根には、深根(しんこん)性と浅根(せんこん)性があるという。
深根性は、直根(ちょっこん)を深く伸ばすタイプで、アカマツが代表的な樹木。
浅根性は、地面をほふくするように横根(よこね)を伸ばすタイプで、ケヤキが代表的な樹木と言われている。

太い横根や細い横根。
浅根性と言っても、この公園のケヤキの根の発達ぶりには驚かされる。
まるで蛸の足のような横根の張り具合。
ケヤキを家の近くに植えると、その横根によって家の基礎が壊される危険性があるという話も充分頷ける。
この公園の歩道の縁石も、ケヤキの横根によって持ち上げられている個所が2~3ある。
ガス管や水道管、下水管なども、張り出したケヤキの横根によって壊されることが考えられるという。
時には人工物を壊して、自身の存在を支えているケヤキの大木。
その迫力に圧倒される。
立身出世した人物の姿を、ケヤキの大木に重ね合わせるのも無理は無い。

昔のお年寄りが、若者に向かって「一ヶ所に根を張って大きく生きなさい。」と助言しているのをよく聞いた。
「自分の城を構えることが男として立派な生き方なのだ。」という台詞もよく使われた。
ケヤキの横根を眺めて、そんなことを思い浮かべる人が多いのではなかろうか。
そういえば「寄らば大樹の陰。」なんて諺もあったっけ。

しかし、この公園のケヤキの根の力強さを目の当たりにすると、動物とか植物とかの区別を越えた生き物としての力強い存在を感じてしまう。
それは、大木にちなんだ「人生訓」をも曇らせてしまうほどの迫力。
私には大木が「私のように根を張って大きく生きなさい。」と言っているようには聞こえない。

大地に太い根を張り天空に枝葉を大きく広げているケヤキの大木。
そんなケヤキが、公園のあちこちに立っている。
私には、そのケヤキが「たまには、ここで休んでいきなさい。」と言っているように聞こえるのだ。

横根に「つまずき注意」の看板

縁石を持ち上げている横根。

太い横根を上から写す。横根が派生しながら大地をつかんでいる。

こちらも縁石を持ち上げている横根。

四方八方に横根。

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