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2017年 12月のアーカイブ
「問わず語り」という慣用表現について

「問わず語り」という慣用表現について

「長い沈黙の後、彼女が問わず語りに言い出した話は、僕を身震いさせた。」 なんてのは、よく目にする文章である。 今まで何度もこんな文章を目にして、私は何の抵抗もなく読み流していた。 それがあるとき、この文章はちょっと変ではないかと思うようになった。 そう思いはじめると、私...

はなのいろはうつりにけりないたづらにわがみよにふるながめせしまに

はなのいろはうつりにけりないたづらにわがみよにふるながめせしまに

古くから、能を郷土芸能としている地域は、日本全国に割と多い。 青森県の東通村に伝わる郷土芸能。 能舞は、国の重要無形民族文化財に指定されている。 そんな立派な能もあれば、その地域だけでひっそりと行われる里神楽もある。 小さな村の、田舎芝居。 神楽のような能のような。 ...

おくやまにもみぢふみわけなくしかのこゑきくときぞあきはかなしき

おくやまにもみぢふみわけなくしかのこゑきくときぞあきはかなしき

秋は物悲しい季節である。 葉を落として、黒く尖った木々の枝先が、曇天を刺すように連なる。 暗い雲の下を鳴きながら飛んでいく夕暮れの雁。 そんな晩秋の景色に触れると、いっそう物悲しい気分になってくる。 秋子は、自身の名前に季節の秋の字が用いられているせいか、秋に...

布さらすうすや川辺冬木立

布さらすうすや川辺 (かわべの) 冬木立 野沢凡兆 最初この句を読んだ時「うすや」の「うす」は「失す」だと思った。 「うすや」の「や」は詠嘆の間投助詞「や」。 「や」は、句の切れ字でもある。 それで、この句から感じたイメージは以下の通りであった。 季節は冬。...

あまのはらふりさけみればかすがなるみかさのやまにいでしつきかも

あまのはらふりさけみればかすがなるみかさのやまにいでしつきかも

冬になると、大根の煮物が食べたくなる。 寒さが増すたびに、大根の煮物を食べたいという気持ちが募る。 そうなると、度々訪れる天野原食堂。 ここの大根と豚バラの煮物は最高に美味しい。 豚バラの旨味が程よく染み込んだ飴色の大根。 口の中で、ジュワ~と広がる幸せの味。 もう...

一茶の風とインターネット「焚ほどは風がくれたるおち葉かな」

一茶の風とインターネット「焚ほどは風がくれたるおち葉かな」

「今日はヒトデ祭りだぞ!」というブログで、「【100万PV達成】雑記ブログでアクセスアップする方法を全て教える」という記事をみつけた。 【100万PV達成】とは、一ヶ月間にブログのページビュー数(PV数)が100万回あったということ。 ページビュー数とは、ブログのページが開...

意味のない音と無意味なことば

意味のない音と無意味なことば

「あなたを思えばこそ言ったんですよ。」とその男が言った。 私が考え事をしながら道を歩いていたら、前方からやってきた男にぶつかりそうになったのだ。 私の不注意なのだが、「どこ見て歩いてるんだよ。」と高飛車に言われると、ムカつく。 「おまえが避けて通ればいいだろう。」...

月花の愚に針たてん寒の入り

月花の愚に針たてん寒の入り

「寒の入り」とは、暦の上で寒が始まる「小寒」のこと。 一年を二十四等分して季節を分けたのが二十四節気。 「小寒」は、その二十四節気の二十三番目にあたる。 旧暦の十一月後半から十二月前半あたりに「小寒」の日があるという。 「小寒」の前の二十二番目は、おなじみの「冬至」。 ...

紫陽花の雪囲い、えっ紫陽花って木だったのか?

立木に結わえられて、雪囲いされている紫陽花。  愛犬の散歩で訪れている公園は、もうほとんど雪囲いが終わっている。 大掛かりなものは、板で組んだ屋根があり、まるで小屋のようになっている。 簡単なものは支柱を立てて、植え込みをその支柱ごと結わえているもの。 もっと簡単...

猫の恋やむとき閨の朧月

猫の恋やむとき閨の朧月

早春の猫の発情期の鳴き声を、「うるさいなあ」と感じる人は多い。 うるさいはずである。 発情期の鳴き声のなかには、メス猫を奪うためにオス猫同士がバトルする雄叫びも含まれるからである。 恋に焦っているオス同士が、あふれるばかりの敵愾心を相手に向かってぶつけているのだから大音量...

雪国の冬の必需品、ゴム長靴にあいた穴(亀裂)を補修する

ゴム長靴補修キット。   三年前に買ったゴム長靴 に穴(亀裂)が開いて、水が靴内に入り込むようになった。 釘かなんかで引き裂いてできた穴では無く、劣化によるひびわれが進んで細長い穴があいているような状態である。 雪かきをしているときに靴下が濡れて足が冷たくなってくる。...

草いろいろおのおの花の手柄かな

草いろいろおのおの花の手柄かな

芭蕉は元禄元年八月に、仲秋の名月を鑑賞するために美濃の地から信州更科への旅に出る。 「更科紀行」の旅である。 そのときに芭蕉は、見送りに来た岐阜の門人たちに留別吟を残している。 留別吟とは、旅立つ人があとに残る人に向けて詠む別れの句のこと。 芭蕉にとっては、「笈の小文」の...

月はやし梢は雨を持ちながら

月はやし梢は雨を持ちながら

芭蕉は「鹿島紀行」の冒頭部分で「このあきかしまの山の月見んとおもひたつ事あり」と書いて、「鹿島紀行」の目的のひとつが鹿島での月見であることを記している。 鹿島にある鹿島神宮は、万葉集に集められた「防人の歌」の歌枕の地である。 また「旅立ち」や「門出」を意味する言葉である「鹿...

花にうき世我酒白く飯黒し

花にうき世我酒白く飯黒し

「銀シャリ」という言葉を初めて聞いたのは、子どもの頃。 テレビドラマを見ていたときだったような。 刑務所での食事の時間に、受刑者がつぶやく。 「もうクサイ飯は食い飽きた。早くシャバへ出て銀シャリが食いてえぜ。」 そうそう、「シャバ」という言葉もそのドラマで覚えたのだった。...

葱白く洗いあげたる寒さかな

昨夜の降雪で白くなった公園。凛とした寒さが、この公園を美しくしているようだ。 青森市は本格的な冬に入ったのか、ここのところ寒い日が続いている。 寒い日が続くと、私みたいな初老のオジンでも、体が寒さに慣れてくる。 津軽の冬仕様の体になってくるのだ。

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